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磯崎新氏設計の「秋吉台国際芸術村」

S.Yamauchi
16 時間前
読了時間: 5分

先日建築家、磯崎新氏の設計で1998年に建てられた山口県美祢市秋芳町秋吉にある「秋吉台国際芸術村」で開催された「芸術村を読み解く」「建築と音楽の融合」と題したイベントに参加してきました。この施設内にあるホールは、イタリアの現代音楽の巨匠ルイジ・ノーノ(1924-1990)が作曲した、オペラ「プロメテオ-聴く悲劇」を演奏することを念頭において、建築家磯崎新氏(1931-2022)によって設計された3階構造からなる建物です。1階が平土間、2階3階席は演奏者ステージにもなるプラットフォームとバルコニーが立体的に配置された特殊なホールです。楽曲「プロメテオ」は9つの楽章からなり、4群のオーケストラ、5人の声楽ソリスト、2人の語り手、混声4部合唱、楽器ソリストが会場のさまざまな場所に配置されるとともに、ライブ・エレクトロニクスにより12個のスピーカーから空間的に電子音響が発せられます。ノーノは9つの楽章をイゾーラ(イタリア語で「島」と呼び、ホール全体に配置した各演奏家グループを島として見立て、音響空間そのものが作品となっているものです。日本初演は1998年8月この芸術村のこけら落としで演奏されました。今回の企画はその会場を復原展示し、著名な現代音楽家、中川賢一氏(ピアノ)と有馬純寿氏(エロクトロニクス)の共演によるコンサート(ルイジ・ノーノ、武満徹、坂本龍一、ライヒの作品を中心に独創的な空間で楽しむ特別なコンサート)や、元磯崎新アトリエに在籍され、この建物の設計に関わられた建築家の平林繁氏の基調講演や、「だれも知らない建築のはなし」の上映会+トーク(映画監督の石山友美氏:東京芸術大学准教授と、会田大也氏:山口芸術センターディレクターの進行)など、多彩なイベントでした。その一部をご紹介いたします。




 専用の駐車場(右側)ここに車をとめてあえて歩いて行くのが磯崎氏の考えとのこと





国際村入口、赤いモニュメント(左)山口出身現代彫刻家田中米吉(1925-2021)作この建物は免震構造だそうです。





国際村案内看板 南北軸に配置された敷地で、北の山は権現山、磯崎氏自らがこの土地を風水的など考慮し選定されたとのこと、元は棚田(休耕地)のあった山里で、桃源郷、隠れ里、アルカディア(理想郷)をコンセプトとしたとのこと。





少し歩くと蓮池に囲まれた宿泊棟が見えてきます、外壁は美祢鉱山の鉄分が酸化した、テラロッサ(イタリア語で赤い土、石灰岩が風化してできた間帯土壌)を左官仕上げしたものだとのこと、建物周辺は当初は水がはられていましたが現在はありません。建物は雁行して桂離宮をイメージされたとか。




左のレストラン棟を通り、右のホール棟を見る、この間が棚田跡(当初は駐車場はなかったとのこと)、磯崎氏の当初計画では休耕地の棚田をもとに戻したかったとのことです。




企画展示棟から、奥野ホールを見る。右側入口が企画展示会場、列柱が印象的です。





2階の展示会場、磯崎氏のスケッチや模型、図面などが(今回の期間中のみ展示)。中央に見える柱は、梁がないマッシュルーム構造とのこと。





コの字型の建物中央部は屋外ステージのある空間。当初はステージの周りに水がはられていたとのこと(当初の姿があればもっと魅力的でしょうが)左がホール棟、正面が研修室、右が展示とスタジオ棟。




ホール内部の「プロメテオ」会場(今回の基調講演でいただいたカードの写真から)

今回ここで開かれた「ミニマルな世界を楽しむ・音響と空間を楽しむ」演奏会は、これまで体感したことのない、五感で感じるとても素晴らしいものでした。





レストラン棟内部(2階ホールから)高さが14mもある、修道院をイメージしたとのこと。

(ランチはバイキングで2,200円、ディナー、朝食もとてもおいしい料理でした)





国際村開館当初に演出された、萩焼の現代陶工家三輪和彦氏(現13代三輪休雪)によるオープニングプロジェクトがこの日は再現されていました(作品名:レーザー1988:「太古の地 秋吉台に 一条の光を放つ 逢魔時より 漆黒の閣の中へと そこに停む時 何かが起こる……」というコンセプトのもと、夜間にレストランを一直線に貫き本館棟に向かって放たれるレーザー光線のインスタレーション作品)この日は月とのコラボレーションがとても幻想的でした。





夜の宿泊棟サロンスペースである中山邸(磯崎氏最初の住宅設計といわれる復現建物)





復現された中山邸のサロンスペース。当日の映画会場、磯崎氏デザインノモンローチェアに腰かけて、「だれも知らない建築のはなし」(2012)映画監督で東京芸術大学准教授の石山友美氏のトークイベントはとても有意義な時間でした(石山氏は私の大好きな建築家石山修武氏の娘様です)。





サロンには芸術や音楽に関する書物やリスニングルーム(チャールズ・イームズデザインのリクライニングチェアに座り、JBLのスピーカーが6チャンネルで聞ける、CDも現代音楽等豊富に準備されている)もあり一日過ごしてみたいすてきな空間でした。





宿泊棟の洋室、とてもシンプルで素敵な部屋です(テーブルにはさりげなくミケール・デ・ルッキデザインの照明(トロメオ)が。宿泊費は朝食付きで2名ペア料金で一人4,500円とリーズナブルな価格でした。



国際村の建物は1995年から1996年にかけて設計され1988年完成の建物です。構造は川口氏、音響設計は永田音響。アーキペラゴ(群島)をイメージしたといわれる空間に音楽など

今回のテーマの「芸術村を読み解く」「建築と音楽の融合」独創的な空間が蘇ったなかで、五感を刺激された素晴らしいイベントで、磯崎氏の世界感を満喫した時間を過ごすことが出来ました。

参加できたことに感謝です。




 
 
 

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